「裸形のデザイン」O 氏のアルミニュームコレクション

2009年7月17日(金)~8月16日(日)

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今回のDo の展示会ではO 氏こと大西静二さんが集めた、特にアルミ製の
代用品や転用品をメインにしたユニークなコレクションを展示・販売致します。
第二次世界大戦時、軍需品の素材として使われたアルミニュームは戦後の
物資不足の中、多くの日用品に姿を変えました。当時特に不足していたの
が金属類。それを補うために本来鉄製の道具や日用品を陶器で作ったり、
戦闘機の残骸などのジュラルミン(アルミと銅などとの合金) を再利用したり
と「本物」に代わって「代用品」「転用品」などと呼ばれた日用品が多く製造
されました。


古物コレクターとして古道具や骨董の業界では知られた存在である大西さん
ですが、本職は工業デザイナー。日本のロードパル(モペット) の元祖とも
いえるホンダの「ラッタッタ」の原型や名機として名高いコマツのフォークリフト
などのデザインを手がけた、日本の産業デザイン界における知る人ぞ知る存在
です。大西さんが日々手がける工業デザインとは言ってみれば道具のデザイン
です。様々な制約条件と格闘しながら本当に必要な機能、使いやすさ、効率
性などのパフォーマンスを最大限追求するという知性と感性を駆使する大変な
作業です。そんな大西さんが大西さんならでは視点で永年集めてきた選りすぐ
りのコレクションを今回はご覧頂けるだけでなく、販売も致します(一部非売品)。
アルミ製品の他に同時代の白磁の陶器や琺瑯、セルロイド製品なども同時出品
販売する予定です。


今回のDM 写真にも使われているのはなんとアルミ製の団扇。現代の感覚から
すると非常にソリッドでシャープなモダンデザインにも見えますが、当時としては
むろん物資不足という切実さの中から生まれたモノ。その「切実なモノたち」を、
日常的に「デザイン」に囲まれ、ときにそれを批判し、「デザイン」を知っているつ
もりの私たちの視点と美意識によって再発見するおもしろさをこの展示会で体感
して頂けるのではないでしょうか。


戦後の復興しはじめる日本の、それもデザイナーではなく町工場から生まれ、
アルマイト塗装さえ施されていない「裸形のデザイン」ともいえる「名品」「珍品」
の数々をお楽しみいただければと思います。
なお展示会で紹介するアルミニュームコレクションは、今回のDM デザインを
してくださった山口信博さんのブックデザインにより、㈱ラトルズより9 月に出版
される予定です。


・大熊健郎 CLASKA/DO クリエイティブディレクター

15 年間『イデー』でバイヤーとして勤め商品企画を担当。その後 ANA 機内誌
『翼の王国』の編集部を経て、CLASKA/DO のクリエイティブディレクターに就任。
コンテンポラリージャパニーズを切り口に日本の伝統的なクリエーションに再解釈
を加えることで独自の世界観を展開。ショップディレクションと並行して、各種媒体
での執筆活動も行っている。