朴木地屋 輪島キリモトといつものうるし展

2010年7月2日(金)〜25日(日)

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 昨年雑誌のお仕事で桐本木工所の工房にはじめてお邪魔したときのこと。
工房に所狭しと並んでいた漆の塗られていない素地のままの器や盆の形に
思わず目が奪われてしまいました。一見シンプルな形の中に複雑で
ニュアンスのある表現を感じ、熟練した技術とセンスを要するだろうことは
素人目にもわかりました。漆が塗られる前の素地の器は実に清々しく、
日本的意匠を感じさせる細部のデザインなど実にモダンで美しかったのです。
そのとき桐本木工所の基本が創業80年を越える木地屋さんであるということを
あらためて再確認した気がしました。

 「輪島キリモト」を率いる桐本泰一さんは新世代漆業界で孤軍奮闘する
志士のような人。日本全国を飛び回り、「毎日使えるうるし」をテーマに
今の時代に合った漆器のあり方、使い方を提案し続けていらっしゃいます。
金属スプーンを使っても傷つかない漆のお皿、ビジネスシーンでも使える
シックな漆の名刺入れなど、現代の暮らしにフィットするユニークな商品を
発表し続けている姿勢にはどこか使命感さえ感じます。「伝統工芸」という
時に名ばかりのブランドに頼るのではなく、常に時代を意識して自ら切り
開いていこうという強い意思みたいなものを。

 今回の展示はそんな「朴(ほお)木地屋」として桐本木工所のしごと、
「毎日使えるうるし」の提案者としての輪島キリモトのしごとを合せて
ご覧頂きたいと思っています。ドーのリクエストで作って頂いたオリジナルの
アイテムも合せてご紹介させて頂く予定です。皆さまのお越しをぜひ
お待ちしております。

(CLASKA Gallery & Shop "DO" ディレクター 大熊健郎)