CLASKA Gallery & Shop "DO" 湘南T-SITE店では、2月25日(土) から3月12日(日) までの約2週間、木工作家・吉川和人さんの木工展を開催します。
世田谷にアトリエを構え、木の小物や家具を制作されている吉川さん。今回の作品展では「森と木と食卓」をテーマに、木の表情を丁寧に活かした器やカッティングボードのほか、積み木などのオブジェのシリーズもご紹介します。
この木工展を目前に、吉川さんのアトリエで制作の様子を伺ってきました。
アトリエを訪ねたのは、冷たい風が吹いた1月の終わり。吉川さんのアトリエは、かつては大工さん達が作業場として使っていたという材木会社の倉庫の一角にあります。天井高4~5メートルはありそうな広々とした開放感のあるスペースに、吉川さんの自作の棚が設けられ、作品や道具がずらりと並んでいます。
壁に掲げられているのはかつての材木会社の就業規則。木の粉を被り、読解不可能になってしまった文字が年季を感じさせます。
吉川さんの作品には、アメリカンチェリーやブラックウォールナットなどの海外の木材のほか、岐阜や福島から仕入れた国産の木材も多く使われています。出番を待つ大きな丸太や切り出された木材があちこちに並んでいます。
たくさんの機械が並ぶアトリエの中。いくつもの機械を駆使し、木を様々なかたちに加工していきます。
高台をはめ、のみを使ってお椀やカップを成形するためのろくろと呼ばれる機械。小振りなものはもちろん、大きなお盆なども挽くことができます。
ろくろ挽きで出来上がったお椀。右側の底の丸いお椀は、吉川さんの作品の中でも人気の高い、歪み碗の試作品だそう。色々な料理を盛り付けたくなる形で、完成した姿を見るのが楽しみです。
穏やかな動物たちの表情につい笑顔になってしまう、新作の積み木のシリーズ。アクリル絵の具で着彩したもの、無垢のままのものなど、20種類ほどの動物がいるそう。
積み上げられた段ボールの中に入っているのは、制作中に出てしまった端材や小さな木片。積み木の動物たちは、これらの端材の形状や、ギザギザと残った刃の跡からインスピレーションを受けて生まれます。
今回の展示にも並ぶカッティングボードは、機械を使ってスライスした板を、南京鉋ややすりを使い手作業で仕上げています。木目の美しさと手仕事の温もりが感じられ、使うほどに味わいが増していきます。
木工作家としての活動を始める前は、モダンファニチャーを取り扱う大手メーカーで営業や企画開発の部署で働いていた吉川さん。名作と呼ばれる多くの家具に触れお客様の声を直に聞くことで、いいものを見極める審美眼と、いま何が市場で求められているかを感じ取る力が養われたと言います。
そして、多くの職人さんたちと出会うなかで、観るだけでなく使うことのできる「道具」という芸術の価値とその佇まいの美しさに惹かれ、自ら制作することに興味が湧いたそう。
「木工作家として活動を始めて数年が経った今でも、制作を始めるとつい熱中し過ぎてまわりが見えなくなってしまうんです」と笑う吉川さん。その笑顔に、森の中で木のかけらや枝をおもちゃにして遊んでいたという幼い頃の吉川さんが重なるようでした。
今回の木工展では、カッティングボードや積み木のオブジェ以外にも、プレートや拭き漆のお椀もご用意します。手に馴染み、使うほどに味わいを増していく木の温もりを感じに、ぜひご来店ください。スタッフ一同心よりお待ちしております。
(写真・文:CLASKA Gallery & Shop "DO" 湘南T-SITE店 山本純子)
[会場]CLASKA Gallery & Shop "DO" 湘南T-SITE店(湘南T-SITE 2号館 1F)
[会期]2017年2月25日(土)~3月12日(日) 10:00~21:00