CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店では、「古賀 充 展 leaves」が始まりました。ドー 本店では1年9か月ぶりとなる造形作家・古賀充さんの企画展です。
今回は「leaves」というタイトルの通り、葉の作品が並びました。
古賀さんがこのシリーズの制作を始められたのは、2013年にドー 本店で作品展「MUSUEM」を開催した頃のこと。元々は銅線を使うこと自体に関心があり、人工のもので自然のものを形作ることに面白みを感じられたそう。
それから4年もの時間をかけ、植物の葉を何枚も丹念に観察し、技術にも一層磨きをかけ、より葉の素の構造を形作れるようになり、このたびの展示となりました。
今回並んだのは25点の葉の作品。それぞれにモデルとなった実際の葉が存在し、葉ごとの全体の形や葉脈の広がりを、驚くべきクラフトワークで再現されています。
その制作工程は、きれいな葉を探すことから始まります。その後、作品にしたい葉を撮影、紙にプリントし、じっくりとその形や構造を観察します。
葉の画像に細かく書き込まれているのは、葉脈の数です。
葉脈の数をすべて足した数の銅線を束にし、やっと葉を形作る工程になります。輪郭のように見える外側のラインも実は葉脈を繋ぎ合わせて出来ています。銅線を枝分かれさせながら作るのは「自然がそれぞれのかたちをつくりだす流れや方法を作品にしたい」という想いから。
1枚ずつ額装された葉は、銅線のほのかな輝きや台紙のやわらかな色合いもあり、どこかあたたかみがあります。造形とともに、その葉が持つ特有の佇まいや個性さえもが再現されているようです。
「葉っぱというのは、当たり前のようにその辺に落ちていて、普段は気を留めることもない。でもよく見ると、自然界だからこその余裕や遊びが葉にはあって、造形物としてとても面白い。木の種類によってはもちろん、1本の木をとっても葉は全部少しずつ違う。左右対称のように見えてそうではないし、葉脈の数も数えてみると不揃い。一つの方法で無限に生み出し続ける自然の驚異を感じる。でも、葉脈の流れを見ると何となく皆同じゴールに向かっているように見えるし、1本の木から落ちた葉は全部似たイメージを持っていたりする。」と、葉の不思議な魅力について語る古賀さん。
「美術館や博物館に行かなくとも、足元に落ちている葉っぱがこんなに面白くて美しい。そういう当たり前のことを見つけられること、気付けることが、人生の楽しみの一つかもしれないですね。」
今回は、葉と同じ方法で制作された、新作の蝶も並びました。
こちらは羽根の部分が少し浮かせてあり、蝶のふわっと軽やかな様が再現されています。光が当たるとできる影もまた繊細で儚げです。
過去の代表的な作品も展示しています。また、これまでの作品集や絵本も取り揃えました。
中身をご覧いただけるサンプルもありますので、過去の古賀さんの作品もこの機会にぜひご覧ください。一部の過去作品を除き、作品はすべて販売しております。
目黒通りのイチョウ並木もちょうど散り終わる季節で、CLASKA 近くの歩道も黄色い葉がたくさん落ちています。古賀さんの作品を見た帰り道には、道端の葉や、日常の自然の風景を見る目が少し変わるかもしれません。
1つずつ異なる葉の成り立ちや、その繊細な造形は写真では到底お伝えしきれません。ぜひ会場で直接ご覧ください。
[会場]CLASKA Gallery & Shop "DO" 本店(CLASKA 2F)
[会期]2017年12月9日(土)~2018年1月8日(月祝) 11:00~19:00
*12月31日(日)~1月3日(水) は休業、1月4日(木) より通常営業
*作家在廊日:12月9日(土)・10日(日)、1月8日(月祝)